いろいろの世界

観てから読むか、観る前に読むか? 映画化されている外国文学 おすすめ14選

映画化された文学作品を集めてみました。

映画で感動した後は、ぜひ、原作小説を読みたいもの。

好きな小説の映画を観るのもいいですね。

一応、原作の発表年順に並べてあります。

チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」(天保14年)

何度も映画化されているディケンズの名作です。

3人の幽霊が現れて、スクルージ爺さんが改心するというシナリオは、もはや普遍的なクリスマスの物語ですね。

最新作は、2009年のディズニー映画『Disney’s クリスマス・キャロル』。

1983年のディズニーアニメ『ミッキーのクリスマスキャロル』もおすすめ。

「ようし! スクルージおじさんに!」と、みんなは声をそろえました。「どんな動物であろうとも、とにかくクリスマスおめでとう、そしてよいお年を!」と、スクルージの甥が言いました。(チャールズ・ディケンズ「クリスマス・キャロル」脇明子・訳)

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コナン・ドイル「シャーロック・ホームズ 最後の事件」(明治26年)

映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』(2011)の原作小説です。

監督はガイ・リッチー、主演はロバート・ダウニー・Jrとジュード・ロウでした。

最初に「原作小説」と書きましたが、本当は原作でも何でもありません。

ストーリーは、完全に映画オリジナルです。

原作と重なるのは、モリアーティ教授が登場することくらいか。

でも、ロバート・ダウニー・Jrのホームズ、最高です!

「ねえ、ワトスン。ぼくの生涯はまるっきりむだではなかった、と、いっていいと思う。もしぼくの記録が今夜かぎりおしまいになったとしても、ぼくは平気でそれを読みかえすことができる。ロンドンの空気は、ぼくがいたからこそ、よごれずにすんでいた」(コナン・ドイル「シャーロック・ホウムズ 最後の事件」林克己・訳)

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スコット・F・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」(大正14年)

映画『華麗なるギャツビー』(2013)の原作小説です。

監督はバズ・ラーマン、主演はレオナルド・ディカプリオでした。

原作小説が大好きですが、躍動感ある映画も最高。

1974年には、ロバート・レッドフォード主演でも映画化されています。

「あいつらはくだらんやつらですよ」芝生ごしにぼくは叫んだ。「あんたには、あいつらをみんないっしょにしただけの値打ちがある」これを言ったことを、ぼくはいつもうれしく思いだす。これが後にも先にもぼくが彼を誉めた唯一の言葉だった。(スコット・F・フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」野崎孝・訳)

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A.A.ミルン「クマのプーさん」(昭和元年)

映画『プーと大人になった僕』(2018)の原作小説です。

監督はマーク・フォースター、主演はユアン・マクレガーでした。

あらすじとしては、完全に映画オリジナルです。

映画と原作、それぞれ楽しみたいですね。

「クリストファー・ロビン、おはよう」プーは、遠くから声をかけました。「やあ、プー、おはよう。ぼくね、この長ぐつ、はけないの」「そりゃ、いけないな」と、プーはいいました。(A.A.ミルン「クマのぷーさん」石井桃子・訳)

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トマス・ウルフ「天使よ故郷を見よ」(昭和4年)

映画『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』(2016)に登場する作家、トマス・ウルフのデビュー作です。

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』は、フィッツジェラルドやヘミングウェイを見出した伝説の名編集者マックス・パーキンズが、トマス・ウルフを天才作家へと送り出す過程が描かれています。

監督はマイケル・グランデージ、主演はコリン・ファース、ジュード・ロウ、ニコール・キッドマン、ローラ・リニーでした。

フィッツジェラルドやヘミングウェイも登場する、ジャズ・エイジのニューヨークが舞台です。

ある朝、女房ががみがみいって彼を起そうとしてみると、彼はもう卒中で死んでいた。あとには子供が五人と抵当が一つ遺った、それから、——まだきらきらと見ひらいている彼の怪しい黒い瞳のなかに、何か死なないものが遺っていた、それは流浪に対する情熱的な茫漠たる飢渇であった。(トマス・ウルフ「天使よ故郷を見よ」大沢衛・訳)

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レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」(昭和14年)

映画『三つ数えろ』(1946)の原作小説です。

監督はハワード・ホークス、主演はハンフリー・ボガートでした。

チャンドラーのフィリップ・マーロウ作品は、いろいろ映画化されていますが、これが一番有名ではないでしょうか。

もっとも、ハンフリー・ボガートは、マーロウ役としては身長が低かったため、映画の中で「背が低いのね」と揶揄されています(ボガートは173cm、マーロウは186cm)。

近づいてくると、彼女は口もとだけで微笑した。小さな鋭い犬歯が見えた。新鮮なオレンジの髄みたいに白く、陶器みたいに光っていた。「背が高いのね」と、彼女は言った。「僕のせいじゃない」(レイモンド・チャンドラー「大いなる眠り」双葉十三郎・訳)

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J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」(昭和26年)

映画『ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー』(2017)の主人公・サリンジャーが書いた長編小説です。

監督はダニー・ストロング、主演はニコラス・ホルトでした。

『ライ麦畑』で売れっ子作家となったサリンジャーが、表社会から姿を消していく過程が描かれています。

いわゆる伝記映画ですが、文学好きの方にはおすすめです。

「きたならしい低能野郎さ。間抜けで低能なかたり野郎だ。あと二年もしてみろ、骨と皮ばかしになって、通りすがりの人からコーヒー代をめぐんでもらうようになってるから。きたねえどろどろのオーバーを洟だらけにして、おまけに—」そこへモーリスの手がとんで来たんだ。(J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝・訳)

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イアン・フレミング「カジノ・ロワイヤル」(昭和28年)

映画『007/カジノ・ロワイヤル』(2006)の原作小説です。

監督はマーティン・キャンベル、ダニエル・クレイグが主演でした。

ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンド役を演じたシリーズの最初の作品。

何も言いません、映画が素晴らしすぎます。

イギリス人は週末にロワイヤルにくるだけで、カジノに金を落として帰ってしまうという。昔はそうではなかったというのだった。肩をすくめて、亭主は悟ったようなことをいう。「そんなことをいっても、きのうと同じ日なんてありませんし、前の時代と同じ時代なんてありゃしませんからね」(イアン・フレミング「カジノ・ロワイヤル」井上一馬・訳)

トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」(昭和35年)

映画『ティファニーで朝食を』(1961)の原作小説です。

監督はブレイク・エドワーズ、主演はオードリー・ヘプバーンとジョージ・ペパードでした。

原作小説とは、かなり違います。

そもそも原作は、恋愛小説じゃない。

でも、映画は映画で、それなりに好きです。

彼女はコール・ポーターとかカート・ウェールなど映画のヒット・ソングはみんな知っていたが、とくに「オクラホーマ!」のなかの歌が好きだった。それはその年の夏、どこでも新しい歌として人気があった。(略)この歌がいちばん彼女のお気に入りだったらしい。というのも、彼女は髪がかわいてしまったずっとあとまで、夕陽が沈み、たそがれの窓辺に灯がチラホラ見えても、なおそれを歌いつづけていたからだ。(トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」龍口直太郎・訳)

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ハーパー・リー「アラバマ物語」(昭和35年)

映画『アラバマ物語』(1962)の原作小説です。

監督はロバート・マリガン、主演はグレゴリー・ペックでした。

子どもたちは、幼き日のハーパー・リーとトルーマン・カポーティがモデルになっています(二人は幼馴染だった)。

素朴で分かりやすい映画がおすすめ。

陪審員は有罪と決った被告の顔はみないものだ。いま陪審員が入ってきたとき、誰一人としてトム・ロビンスンをみる者はいなかった。(ハーパー・リー「アラバマ物語」菊池重三郎・訳)

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トルーマン・カポーティ「冷血」(昭和40年)

映画『冷血』(1967)の原作小説です。

監督はリチャード・ブルックス、主演はロバート・ブレイクとスコット・ウィルソンでした。

基本的に、原作小説を忠実に映画化しています。

映画も恐いけど、カポーティのクールな文章が際立つ原作に一票。

「冷血」執筆過程を映画化した『カポーティ』(2005)は絶対におすすめ(カポーティがハーパー・リーと取材旅行に出かける物語です)。

事件直後の月曜日、一九五九年十一月十六日。この日もキャンザス州西部の小高い小麦畑のひろがる平原では、からりと晴れわたった絶好のキジ狩り日和—雲母のようにきらきらと青空の輝く一日であった。(トルーマン・カポーティ「冷血」龍口直太郎・訳)

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マリオ・プーゾ「ゴッドファーザー」(昭和44年)

映画『ゴッドファーザー』(1972)の原作小説です。

監督はフランシス・フォード・コッポラ、主演はマーロン・ブランドとアル・パチーノでした。

基本的に、ほぼ原作小説を忠実に映画化しています。

圧倒的に映画の方が素晴らしい。

ドンは十二歳で、すでにいっぱしの男になっていた。背が低く、色黒でほっそりとしており、ムーア人の集落みたいなシシリーのコルレオーネという村で生まれ、名前をヴィトン・アンドリーニといった。(マリオ・プーヅォ「ゴッドファーザー」一ノ瀬直二・訳

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ノーマン・マクリーン「マクリーンの川」(昭和51年)

映画『リバー・ランズ・スルー・イット』(1992)の原作小説です。

監督はロバート・レッドフォード、主演はブラッド・ピットでした。

非常に忠実に、原作小説を映画化しています(恋愛のエピソードは、ちょっと盛ってある)。

映像が素晴らしすぎるので、映画に一票。

おやじが「お前はすばらしいフィッシャーマンだ」と、言った。「おれはロッドの使い方ではかなりの腕だと思うけど、魚と同じように考えるには、あと三年必要だと思うな」と、弟が言った。(ノーマン・マクリーン「マクリーンの川」渡辺利雄・訳)

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スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」(昭和56年)

映画『スタンド・バイ・ミー』(1986)の原作小説です。

監督はロブ・ライナー、主演はウィル・ウィートンとリヴァー・フェニックスでした。

あらすじは原作小説とほぼ同じですが、テーマ(視点)がちょっと異なっています。

ぜひ、原作を読んでほしい作品です。

わたしは新聞でその記事を読んだ——クリスは修士課程の二年目を終えるところだった。わたしの方は一年半前に結婚して、ハイ・スクールで国語を教えていた。妻は妊娠しており、わたしは本を書こうとしていた。(略)わたしは妻にミルクセーキを飲みに行ってくると言った。車で町から出ると、車をとめ、わたしはクリスを思って泣いた。三十分近く泣いたようだ。妻を愛していたが、妻の前では泣けなかった。そんなまねをしたら、弱虫になってしまう。(スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」山田順子・訳)

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まとめ

以上、今回は、映画化された文学作品をご紹介しました。

小説もいいけど、映画もいいですよね。

洋画好きですが、いずれ、日本映画篇もやってみたいと思います。

ABOUT ME
やまはな文庫
アンチトレンドな文学マニア。出版社編集部、進学塾講師(国語担当)などの経験あり。推しは、庄野潤三と小沼丹、村上春樹、サリンジャーなど。ゴシップ大好き。