読書感想文

福原麟太郎「永遠に生きる言葉」バーンズからチェーホフまで、時代を超えて愛される世界の名言集

庄野さんの本で紹介されていたので、福原麟太郎さんの「永遠に生きる言葉」を読みました。

ずっと近くに置いておきたいと思います。

作品名:永遠に生きる言葉
著者:福原麟太郎
発行:1959/2/20
出版社:毎日新聞社(毎日ライブラリー)

作品紹介

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「永遠に生きる言葉」は、福原麟太郎さんの編集による名言集です。

福原さんのあとがきには、「毎日新聞社は、そういう、永遠に生きる言葉を集めることを思いたった。それを世界各国から拾い集めようとした。各国の人間の生活に親しみをもった諸学者に依頼して、それぞれの国別に、そのような言葉を集めていただき、言葉の主の紹介をし、その言葉についての評釈をつけたものを編もうとした」とあります。

あらすじ

「永遠に生きる言葉」は、「英米編(福原麟太郎)」「フランス編(市原豊太)」「ドイツ編(山下肇)」「イタリア編(野上素一)」「ロシア・ソ連編(原卓也)」「中国編(実藤恵秀)」「日本編(山崎正一)」の各国別に編集されています(カッコ内は各執筆担当者)。

目次【英米編】/デーオルの嘆き/モールドンの戦い/シェークスピア/ベーコン/セルデン/ウォールトン/ミルトン/ニュートン/ロック/ポープ/スウィフト/アディソン/ウォルポール/グレー/ジョンソン/ゲイ/スターン/ヘンリー/バーンズ/ブレーク/バーク/ワーズワス/フランクリン/ネルソン/ホーソーン/エマーソン/ロングフェロウ/キーツ/ベンタム/シェリー/ラム/バイロン/カーライル/ピット/ランドー/アーノルド/テニソン/ブラウニング/ニューマン/ディケンズ/サッカレー/ペーター/リンカーン/エディソン/ギルバート/スティーブンソン/キップリング/ワイルド/シング/ショー/ギッシング/コンラッド/チェスタートン/アスクウィス/ジェフリース/ブルック/エリオット/ポラード/ネヴィンソン/チャーチル/【フランス編】モンテーニュ/デカルト/パスカル/モリエール/ルソー/ヴィニー/ボードレール/【ドイツ編】ノヴァーリス/バッハ/カント/レッシング/リヒテンベルク/ヘルダー/ゲーテ/シラー/ジャン・パウル/フンボルト/ベートーヴェン/ヘルダーリングリム兄弟/ベルネ/ハイネ/シュティフター/マルクス/ラーベ/ヒルティ/ニーチエ/ジンメル/リルケ/トーマス・マン/カフカ/シュヴァイツァー/ヘルマン・ヘッセ/シュテーリン【イタリア編】トーマス・アクィナス/ダンテ/パサヴァンティ/ペトラルカ/ボッカチオ/ベルナルディーノ/レオナルド/サヴォナローラ/マキヤヴェルリ/アリオスト/グレイチャルディーニ/タッソ/メタスタシオ/ゴルドーニ/アルフィエリ/モンティ/フォスコロ/マンゾーニ/ジョベルティ/マッツィーニ/ガリバルティ/ヴェルディ/ダヌンツィオ/【ロシア・ソ連編】プーシキン/ゴーゴリ/ベリンスキイ/ツルゲーネフ/ドストエフスキイ/トルストイ/チェルヌイシェフスキイ/マコフスキイ/ガルシン/チェーホフ/スタニスラフスキイ/ゴーリキイ/レーニン/スターリン/マヤコフスキイ/ショーロホフ/【中国編】孔子/子思/老子/孟子/屈原/孫文/陳天華/魯迅/郭沫若/毛沢東/王芸生/【日本編】国木田独歩/夏目漱石/田部重吉/高村光太郎/北原白秋/親鸞/福沢諭吉/幸田露伴/森鴎外/道元///あとがき/筆者略歴/人名索引/書名索引

なれそめ

僕が「永遠に生きる言葉」の存在を知ったのは、庄野潤三さんの作品の中に、この本のことが登場していたからです。

それも1回だけではなくて、いくつかの文章の中で、庄野さんはこの本について触れていたような気がします。

「永遠に生きる言葉」の発行は昭和34年のことなので、その直後の頃に書かれた作品だったかもしれません。

読書が新しい読書を導くというのは、こういうことを言うのかもしれませんね。

本の壺

心に残ったせりふ、気になったシーン、好きな登場人物など、僕の「壺」だと感じた部分を、3つだけご紹介します。

年収20ポンド、一年の支出、20ポンド06ペンス、その結果は、すなわち不幸さ。

年収20ポンド、一年の支出、19ポンド19シリング6ペンス、その結果はすなわち幸福さ。年収20ポンド、一年の支出、20ポンド06ペンス、その結果は、すなわち不幸さ。ディケンズ「ディヴィッド・コッパフィールド」

ディケンズは、サッカレーと並んで、ヴィクトリア朝の二大小説家の一人で、下級階層の生活を書くことに、非常に優れていました。

引用の言葉は、「ディヴィッド・コッパフィールド」の中で、ミコーバのセリフとして登場します。

貯蓄できない暮らしが不幸な暮らしである、という考え方は、経済に重点を置いた、ひとつの生き方なのかもしれませんね。

私の蓄音機には雑音がある。しかし、その雑音の中から、真の音楽の魂が聞けます。

私の蓄音機には雑音がある。しかし、その雑音の中から、真の音楽の魂が聞けます。(エディソン)

発明王として知られるトマス・アルヴァ・エディソンは、学校教育をほとんど受けずに、鉄道の新聞売子から始まって、鉄道の電信技手となり、電信関係の発明を次々と続けました。

エディソンの発明としては拡声器、蓄音機、電球、電車、無線電信、活動写真、蓄電池、発声映画などが知られています。

引用句は、出典・原文ともに不明で、「岡倉由三郎先生の口から聞いて覚えているものだ」とだけ記載されています。

「どんなにきれいな音が出ても、真実の魂の声が聞えなければ虚偽に過ぎない」という福原さんのコメントも、胸にしみます。

船ってものは、進水した時から、沈みかかっていたと思っていいんだよ。

船ってものは、進水した時から、沈みかかっていたと思っていいんだよ。(スティーヴンソン「寓話」)

僕が庄野さんの作品の中で読んだ言葉は、まさしく、スティーヴンソンの「船ってものは、進水した時から、沈みかかっていたと思っていいんだよ。」という言葉でした。

福原さんのコメントは「今はじまったことではない。あわてるには及ばない。たしかにそうだ」のみ。

ある意味、人生の真実を鋭く突いたような、これぞまさしく名言というやつなのかもしれませんね。

「英米編」では、福原さんの端的なコメントが、心地良いリズム感を作り出しています。

読書感想こらむ

「永遠に生きる言葉」には、「英米編」以外にも各国の名言が収録されていますが、引用の形態は、各執筆担当によって大きく異なります。

原文を長く引用して、詳しい解説を付けたものもありますが、僕は編者である福原さんのごく短いフレーズの引用と、簡単なコメントによる構成が、最も楽しめると思いました。

「永遠に生きる言葉」というコンセプトに違わず、時代を超えて読み継がれていくべき名著だと思います。

こういう良書こそ、版を重ねてほしいものなのですが。

まとめ

福原麟太郎さん編集の「永遠に生きる言葉」は、世界各国の名言を収録した名言集です。

主に文学者の作品を中心に、幅広いジャンルの識者の言葉が並んでいる。

この本をもとに出典にあたっていくと、読書の幅が増えそうだ。

編者紹介

福原麟太郎(英文学者)

1894年、広島生まれ。

ロンドン大学キングズ学寮にて英文学を学ぶ。

「永遠に生きる言葉」刊行時は64歳だった。

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じゅん
庄野潤三生誕100年を記念して、読書ブログを立ち上げました。村上春樹さんと庄野潤三さんの作品をゆるゆる楽しんでいます。