アメリカントラッドの雄「ブルックス ブラザーズ」のブランドムックが初登場。
男女を問わず楽しめる充実したコンテンツが魅力の一冊です。
特別付録はビッグサイズのトートバッグ。
書名:Brooks Brothers 2011-12 AUTUMN/WINTER COLLECTION
著者:
発行:2011/9/29
出版社:宝島社
作品紹介
宝島社ブランドムックシリーズでは初登場となる「ブルックスブラザーズ」。
2011秋冬新作の紹介、「THE HISTORY OF BROOKS BROTHERS」として「ブルックス ブラザーズ193年の歴史」の紹介、「CEO デル・ベッキオ氏のスペシャルインタビュー」「ブランドの命運を決めた8つの名品ストーリー」「BLACK FLEECE BY Brooks Brothers デザイン by トム・ブラウン」「2011-12 AUTUMN/WINTER COLLECTION
秋冬最新カタログ」「マディソンアベニューの伝統と信頼の店 ブルックス ブラザーズ N.Y.本店レポート」「1967年からN.Y.本店に勤務する男トム・デイヴィス氏 スペシャルインタビュー」「N.Y.本店バックヤードで働く人々 ブルックス ブラザーズが生まれる場所」「あの人が語るブルックス ブラザーズ TRAD対談 安西水丸 × 北原照久」「B.B SHOP STAFF SNAP」「ブルックス ブラザーズにまつわるQ&A」と、ムック本としてはなかなかの充実度。
さらに、注目の付録は、A3サイズも入るビッグトートバッグでした。
これでお値段は消費税を入れても1,500円程度とお買い得感満載だったので、付録のトートバッグ目当てに購入した方々も多かったようです。
なれそめ
書籍よりも付録の方がメインみたいなブランドムックなるものの存在は知っていたけれど、実際に自分で初めて購入したのは、「ブルックスブラザーズ」のものが初めてでした。
付録のトートバッグが目当てというわけではなくて、純粋に「薄っぺらい冊子部分を読みたい」という気持ちだけで購入した、初めてのブランドムックだったわけです。
雑誌の中の特集ページを冊子にしたような頼りないムック本でしたが、安西水丸さんと北原照久さんの対談が載っているということが、直接的な購入動機になりました。
北原さんはブリキのオモチャコレクターとして「開運!なんでも鑑定団」でお馴染みの方だったし、水丸さんのエッセイを読むのは、僕の密かな楽しみでもありました。
もちろん、ブルックスブラザーズの歴史に関する資料として使いやすいということも、僕がこのムック本を購入した理由のひとつです。
本の壺
ページ数の少ないムック本ですが、内容的には結構充実しているんですよ。
8つの名品ストーリー
創業200年の歴史を持つブルックスブラザーズが作り上げてきたものは、実に多岐に渡ります。
近現代の男性服飾の素地を作ったのがブルックスブラザーズだと言ってもいいくらい。
本書では、その中でブルックスブラザーズ入門とも言える名品を紹介しています。
初めてブルックスブラザーズを購入するという人にお勧めなのが、オックスフォードのボタンダウンシャツです(ブルックスブラザーズでは「ポロカラーシャツ」と呼ぶ)。
もう「THE」が付くくらいにブルックスブラザーズの定番アイテムで、ブルックス入門はオックスフォードのボタンダウンシャツにしておいて間違いはありません。
おじさんがこういうシャツを買うとビジネスシーンでしか着ることができないものと思いがちですが、意外とカジュアルシーンでも使い買っての良いアイテムです。
ノンアイロンのシャツの第1ボタンを開けて腕まくりでもしておけば、デニムでもチノパンでもイケます。
詳しく知りたい方は、ウディ・アレンの映画を観て勉強しましょう。
もうひとつ、ブルックス入門にお勧めのアイテムがレジメンタルタイ、いわゆるストライプ柄のネクタイです。
左上から右下に向かって下がっている「右下がり」のネクタイ(レジメンタルタイ)は、これも「THE」が付くほど有名な、ブルックスブラザーズのシンボル的アイテムです。
ただし、日本のビジネスシーンでレジメンタルタイは意外と目立ちます(ブルックスブラザーズのデザインのものは特に)。
安西水丸さんと北原照久さんの対談
安西水丸さんと北原照久さんの対談は、本書の大きな見所のひとつでもあります。
戦後の黎明期にアメリカ文化の洗礼を受けた世代の2人による対談は読み応えあります。
特に、水丸さんがニューヨークで働いていたときのエピソードは貴重にして希少。
水丸さんのエッセイも好きだけど、こういう対談も悪くないですね。
僕は1960年代から70年代にかけてニューヨークで働いていたんです。それで、マディソンアベニュー44ストリートに、VANのような洋服屋があるな、と(笑)。それである日、ちょっとドキドキしながら入ったんですよ。6月くらいだったんですが、サマースーツを買いました。VANに似ていていいなと思って。
その服を会社に着ていったら、会社はアメリカ人ばかりなんですが、同僚の一人が、「お前、こんな服を買えるお金持っているのか?」って言うんです。僕は「日本にVANという好きな洋服屋があって、そこの服に形が似ていたから買ったんだ」っ説明したら、「それはお前、逆だろう」って(笑)それがブルックスブラザーズとの初めての出会いですよ。
(宝島社ブランドムック「ブルックスブラザーズ」)
なお、水丸さんのエッセイ集でも、水丸さんのスーツに対する考え方などが紹介されています。
興味のある方は、別記事「安西水丸「青山の青空」バブル時代の空気漂うとりとめのないエッセイ」も併せてご覧ください。

付録のトートバッグ
ブランドムック最大の注目は、なんと言っても、その付録。
本書では、ブルックスブラザーズのアイコンである羊ロゴが中央にプリントされた布製トートバッグが同梱されています。
薄っぺらいいわゆる「ペラトート」ではありますが、十分な長さのある持ち手は丈夫なコットンテープを使用しており、底部分にもフェイクレザーを用いるなど、耐久性を意識した作りとなっています。
生成り色と紺色のシンプルなデザインは上品で落ち着いた印象。
また、バッグ内部に内ポケットを備えるなど、機能的にも配慮されていて、実用的なトートバッグとなっています。
羊のアイコンやブランドロゴが目立ちすぎないところも、使いやすい要因となっているようです。
読書感想コラム
薄っぺらい布きれで作られた通称「ペラトート」。
最初見たときに、こんなペラペラのトートバッグなんて恥ずかしくて持ち歩けないと思ったけれど、「ブルックスブラザーズ」のペラペラトートバッグは、僕の予想以上に活躍してくれることになる。
最も出番の多かったのは、図書館までの往復。
返却する本を入れて、新たに借りた本を持って帰る。
思ったよりも頑丈だったペラトートは、現在も図書館用のバッグとして現役で活躍中。
ちなみに、ペラトートはチープなアイテムだけど、コーデに気をつければ、オシャレにも一役買ってくれる。
コツは全身カジュアルにまとめすぎないこと。
上半身は長袖の白シャツ(できればブルックスブラザーズのオックスフォードのボタンダウンシャツ)を腕まくりして、下半身は色落ちしていないデニム。
スニーカーよりもパラブーツのようにドレス感の少ない革靴を履くと、ペラトートを肩掛けしても、軽快な感じがして悪くないものだ。
ネイビーと生成り色でシンプルにデザインされたペラトートは、夏の図書館行きにぴったりだと思う。
まとめ
いつの時代も「ブルックスブラザーズ」は最高。
そんな「ブルックスブラザーズ」の入門編として、本書は間違いなくお勧めの1冊だった。
付録のトートバッグは現在も現役で活躍中。
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