朝日新聞「人生の贈りもの」で、作家の片岡義男さんが半生を振り返っています。
「野生時代」でデビューした片岡さんには角川文庫のイメージが強いですが、集英社文庫のコバルトシリーズでも、良い作品をたくさん残してくれました。
今回は、集英社文庫コバルコシリーズの片岡義男作品をご紹介したいと思います。
片岡義男さんのこと
作家の片岡義男さんは、1932年(昭和7年生まれ)。
「テディ片岡」名義で雑誌コラムなどを手がけますが、1974年、『白い波の荒野へ』で小説家としてデビュー。
1975年、『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人文学賞を受賞し、直木賞候補にもなって、知名度が一気に上がりました。
雑誌「POPEYE」では、アメリカの文化を紹介するコラムを発表。
1980年代には『スローなブギにしてくれ』のほか『彼のオートバイ、彼女の島』『メイン・テーマ』『ボビーに首ったけ』など、多くの作品が映画化されるに至り、「片岡義男」は1980年代を代表するカルチャー・アイコンとなっています。
集英社文庫コバルトシリーズ
1965年に創刊された集英社コバルト・ブックスを前身として、1976年に創刊された集英社の文庫シリーズが「集英社文庫コバルトシリーズ」です。
コバルト・ブックスの作品のほか、「小説ジュニア」や「コバルト」で発表された作品の多くが、「集英社文庫コバルトシリーズ」から刊行されました。
1980年代には、赤川次郎や氷室冴子、新井素子、富島健男など、多くの人気作家が、コバルトシリーズから作品を刊行しています。
「集英社コバルト文庫」に名称が変わるのは1990年のこと。
つまり、「集英社コバルトシリーズ」は、1980年代のライトノベルの象徴として、我々世代の記憶に残る文庫シリーズということなんですね。
片岡義男さんも、この集英社コバルト文庫シリーズから、計6作品を刊行しています。
80年代カルチャーを勉強したい人には必須の教科書ですよ!
ハロー・グッドバイ(1978年)
清水治夫、川崎吉蔵、野原正彦、丹野信太郎、小倉秀明。
明日、札幌を去る美しい決定的な思い出として、今夜、処女とさよならしようと決めた、十六歳の由理子。
姉の美代子は「そんなばかな」とびっくり。
なんとしても由理子の決心を変えなくては、、、
美代子がさしむけた騎士は、自分の恋人である北大生の圭介だった!?
青春の意外性と冒険を軽快なタッチで綴る
表題作ほか、計3作品を収録。
(収録作品)
◆ハロー・グッドバイ
◆砂に書いたラブレター
◆箱根ターンバイクおいてけぼり
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愛してるなんて とても言えない(1979年)
青空がとてもまぶしい日、東北自動車道のサービス・エリアのいちばん奥の片隅に、650cc二気筒のオートバイが一台止まっていた。
その横に、吸い寄せられるように、まっ赤なシヴォレーのカマロが止まった。
ヨースケとエミーの初めての出会いだった。
約束された運命のように、孤独な二人にひとつの愛が芽生えた。
そしてまた、その愛には、哀しい結末が約束されているように見えたが、、、
表題作ほか計4作品を収録。
(収録作品)
◆愛してるなんて、とても言えない
◆ワン・キッス
◆コバルト・ブルー
◆まっ赤に燃えるゴリラ
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トウキョウベイ・ブルース(1980年)
アメリカに憧れる八人の若者たちが登場。
サンダーバードに乗っている、化粧の濃い公子。
オールズモービルに乗っている美沙子。
三十日もオートバイに乗って、四国や九州を回ってきた正博。
裕子、玲子、慎平、兵吉。
高校の卒業を目前にした日曜日、タカオがオートバイで乗用車と衝突。
最後に「ユリコ、また会おう」と言い残して死んだタカオ。
だが「ユリコ」という名前には、誰も心当たりがなかったのだ、、、
表題作ほか計2作品収録。
(収録作品)
◆トウキョウベイ・ブルース
◆翔びなさい、と星が言う
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どうぞお入り 外は雨(1982年)
理津子が雨宿りしながら、バスを待っていると、ポンティアックが止まった。
理津子のアルバイト先で店で働く邦彦だった。
理津子の両親は、もうすぐ離婚する。
理津子は迷った末、どちらにも従わず、ひとりこの町で生きていくことにした。
両親が思い思いの場所へ旅立つ日、理津子は邦彦のポンティアックを借りて、父を駅へ送った。
車内で父に自作の歌をきかせた、、、
表題作ほか、計7作品を収録した短編集。
(収録作品)
◆マイ・ダーリン・ハンバーガー
◆どうぞお入り、外は雨
◆九月の雨
◆100%コットン
◆サマ-タイム・ブルー
◆タイトル・バック
◆ホワイト・アルバム
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こちらは雪だと彼女に伝えてくれ(1984年)
初冬の静かな日曜日、彼は真理子に電話して、彼女とその夜を過ごした。
月の光が淡くふたりをつつむ。
すてきな時間だった。
次の週末、彼は枝理子の部屋で過ごした。
彼は彼女のすべてを美しいと言い、彼女は淡く微笑んだ。
ある時、真理子は言った。
「うれしいわ、あなたが、あんなすてきな人とつき合ってるなんて」と。
後日、枝理子も同じようなことを彼に言った、、、
表題作ほか、全6作品を収録した短編集。
(収録作品)
◆こちらは雪だと彼女に伝えてくれ
◆私は彼女のモーニング・コーヒー
◆彼の右隣が、私
◆もうひとつのラヴ・ソング
◆シャツのボタンが段ちがい
◆タブル、ミント
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最愛のダーク・ブルー(1986年)
夏らしい夏だった。
きらめく陽ざしの下、オートバイはひた走り、池田と幸子の抱擁は、真夏日によく似合った!?(「去年の夏に私たちがしたこと」)。
行方不明の姉をさがしに、オートバイで旅立つ五郎。
孤独な少年の心に生きる姉の、ダーク・ブルーの面影とは!?(「最愛のダーク・ブルー」)。
あるときはホットに、あるときはクールに恋をするティーンたち、そして大人たち。
彼と彼女の世界を洒落た感覚で描く五篇を収録。
(収録作品)
◆去年の夏に私たちがしたこと
◆無理をする楽しさ
◆最愛のダーク・ブルー
◆追伸・愛してます
◆私のなかの三つの夏
まとめ
ということで、以上、今回は、集英社文庫コバルトシリーズに入っている、片岡義男さんの全作品をご紹介しました。
片岡さんの小説は、タイトルだけで片岡さんらしいし、物語もリアルに80年代しているので、80年代カルチャーの好きな方には超おすすめですよ!