日本文学の世界

片岡義男「あとがき」単行本・文庫の<あとがき>を刊行順に全て収録

街のブックストアで片岡義男さんの『あとがき』という単行本を見つけて買ってきました。

すごく良い本なので、今回ご紹介したいと思います。

片岡義男『あとがき』とは

今回買ってきた『あとがき』は、1974年刊行の『ぼくはプレスリーが大好き』から2018年の新刊『珈琲が呼ぶ』まで、片岡義男さんの単行本・文庫に収録されている「あとがき」150点あまりを刊行順に1冊の本としてまとめたものです。

これってすごくないですか?

「あとがき」だけで1冊の本ができてしまうなんて、ちょっと信じられないような気がします。

それにしても、果たして「あとがき」だけを読んで面白いのでしょうか?

結論から言います。

片岡義男さんの『あとがき』は、「あとがき」だけを読んでも充分に面白いし、満足できるのです。

片岡義男の「あとがき」は名コラムだ

どうして「あとがき」だけを読んで楽しいと感じることができるのか?

それは、片岡義男さんの「あとがき」は、本体の作品から離れたひとつのコラムとして完成されているからだと思います。

一般的に「あとがき」と言うと、本体作品の解説や補足、あるいは筆者の感想などが書かれている、そんなイメージがありますが、片岡義男さんの「あとがき」は単なる「あとがき」の範疇を超えて、ひとつの作品としての完成度を有しています。

そこに「あとがき」というサブタイトルがなければ、片岡義男さんの「あとがき」は「あとがき」であることにさえ気付かれないかもしれません。

正直に言って「あとがき」だけを集めた本が、こんなにもおもしろいものだということを、管理人はこの本で初めて知ることができました。

都会的で洗練されていた片岡作品

片岡義男と言えば、1980年代にオシャレで都会的な人気作家の代名詞でした。

『スローなブギにしてくれ』『いい旅を、と誰もが言った』『ドライ・マティーニが口をきく』『ブックストアで待ちあわせ』…

まるでキャッチコピーのように洗練されたタイトルが、片岡さんの作品には付けられていました。

そして、タイトルと同じように洗練されて現代的な暮らしが、彼の生み出す文章の中には溢れていました。

サーフィン、オートバイ、コナコーヒー、ワインとビール、大人の男と女、東京、アメリカ、オアフ島。

かっこいいライフスタイルを、当時の人々は、片岡義男さんの小説から学んでいたんですね。

これは優れたベストコラム集だ

今回の『あとがき』は1970年代、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代と、大きな時代ごとに区分されて、それぞれの年代に出版された作品の「あとがき」が収録されています。

それにしても、1980年代の人気作家が、2020年を目前にした現在も次々と新たな作品を発表し続けているという事実は、まさしく驚愕と言うしかありません。

しかも、片岡さんの書く作品はいつの時代も常に洗練されていて、新たなサジェスチョンを与え続けてくれています。

今回『あとがき』を読んで栗好きマロンが感じたこと、それは、この単行本はもはや単なる「あとがき」の寄せ集めではなく、優れたベストコラム集と呼ぶべきクオリティを持ったコラム集だということです。

この本に出会えて良かった!

45年間のライター人生を集約

この本の大きな特徴のひとつとして、片岡義男という一人の作家の足跡を、概略的に知ることができるということがあります。

1970年代から第一線の人気作家として活躍してきた片岡義男さんには膨大な数の著作がありますが、この「あとがき」では単行本や文庫として出版されたものを大まかに把握することが可能です。

『あとがき』の「あとがき」まで含めると530ページにも及ぶ大作には、1974年に刊行された『ぼくはプレスリーが大好き』以降に積み上げらた片岡義男さんの45年間に及ぶライター人生が集約されています。

ひとつひとつの「あとがき」を読みながら「そう言えばこんな作品もあったよなあ」とか「あの頃の自分はこんなことを考えていたっけ」などといった、個人的な歴史を一緒に振り返っていました。

『カヌーで来た男』も『自分を語るアメリカ』も『なぜ写真集が好きか』も『東京のクリームソーダ』も『東京を撮る』も『謎の午後を歩く』も『文房具を買いに』も『歌謡曲が聴こえる』も『去年の夏、僕が学んだこと』も『珈琲が呼ぶ』も、片岡義男の作品は、いつでも自分の近くにあったような気がします。

単行本購入者は電子版も無料で読める

ひとつ触れておかなければいけないことがあります。

それは、この単行本を購入した人は、帯にプリントされているQRコードからサイトに飛ぶと電子版を無料で読むことができるということです。

なにしろ530ページの大作を持ち歩くことは大変なので、スマホで電子版を読むことができるのはすごくありがたいですよね。

部屋ではペーパーブックを、通勤電車の中では電子版を読むという楽しみ方ができるのは素晴らしいことだと思います。

まとめ

それでは最後に、片岡義男さん『あとがき』のお勧めポイントをご紹介したいと思います。

・「あとがき」も完成されたコラム作品
・ある意味で片岡義男さんの集大成
・電子版を無料で読める

管理人は無類のコラム好きなので、今回の『あとがき』は本当に楽しく読むことができました。

素晴らしい企画を考えてくれた方々に感謝です!

書名:あとがき
著者:片岡義男
発行:2018/10/
出版社:晶文社

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じゅん
庄野潤三生誕100年を記念して、読書日記ブログを立ち上げました。庄野潤三さんの作品を中心に、読書の沼をゆるゆると楽しんでいます。