クラシック音楽と聞いて、身構えないでください。実は、ブルータスも特集するのは、初めてなんです。今回は、初めて聴く人のために、クラシック音楽にまつわる素朴な疑問に答えます。オーケストラ、指揮者に演奏者、ホールに視聴方法、クラシック音楽好き著名人によるおすすめ楽曲選も。ちなみに表紙の写真は、愛犬ニッキーと一緒にピアノに向かう、15歳のグレン・グールド。今なおクラシック音楽界のアイコンであり続ける彼の、はじまりを象徴するイメージです。こちらはその約12年後。一人の演奏家の成熟を体感できるのも、クラシックならではの醍醐味。その世界はどこまでも広くて深いクラシック音楽、そろそろ聴きはじめてみませんか?(ブルータスN0.916「クラシック音楽をはじめよう」)
書名:ブルータス NO.916「クラシック音楽をはじめよう」
著者:
発行:2020/6/1
出版社:マガジンハウス
作品紹介
(2021/03/05 23:11:09時点 Amazon調べ-詳細)
今月の『ブルータス』は「クラシック音楽」の特集です。
すごく意外なことですが、『ブルータス』がクラシック音楽を特集のは今回が初めて。
え、マジですか?っていう感じがするくらいに意外な事実ですが、うーん、すごく不思議です。
キャッチコピーが「ブルータス初めてのクラシック音楽入門」となっているように、あまりマニアックにはならないように、といって薄っぺらな内容にならないように、Q&A形式で知識を深めることができる、ブルータスらしいクラシック音楽入門になっています。
(目次)石田ゆり子さんも、はじめたみたいです。/世界一のオーケストラはどこですか?/まずは、何で選んだらいいですか?/指揮者って、本当に大事なんですか?/音楽は、楽器で変わりますか?/作曲家ってどんな人??/ベートーヴェンって、何がそんなにスゴいの?/どうしてみんなグレン・グールド好き?/どの演奏も、全部同じに聞こえませんか?/アドリブしてもいいんですか?/オペラもクラシック音楽ですか?/最近の曲も“クラシック”ってどういうこと?/決まり事ばっかりなんですか?/若くてイケてる演奏家を教えてください。/音のいいホールって何がいいの?/映画でクラシック音楽かかるとグッときます。/本を読むとき、クラシックが聴きたくなります。/レコードやCD以外で聴くのって邪道?/Book in Book みんなのMYクラシックピースガイド/芸術と愛と理解について、教えてください。~作家、川上未映子からピアニスト、アンドラーシュ・シフへの問い~(ブルータスN0.916「クラシック音楽をはじめよう」)
表紙写真は15歳のグレン・グールド。
永久保存版のブルータスが、また1冊増えました。
雑誌・ザ・スクラップ
『ブルータス』2020年6月1号を読んで気になった記事をご紹介いたします。
どうしてみんなグレン・グールド好き?
特集ページ扉には、1959年5月、ロンドンのロイヤル・フェスティバルホールでリハーサル中のグレン・グールドを撮影した写真が使われています。
時代が移り変わっても、クラシック音楽のアイコンとしてのグレン・グールドの存在は不変のようです。
ちなみに、特集には「どうしてみんなグレン・グールド好き?」というページもあって、音楽家の原摩利彦さんによる解説が掲載されています。
グレン・グールドが今の時代にも支持されている理由として、原さんは「録音を作品のフォーマットとして考えた点が大きいんじゃないでしょうか。(略)録音に対して常に意識的で録音物を作品の中心に置いたという点でグールドは傑出していたと思います」と述べています。
原さんチョイスの「グレン・グールドを聴く、グレン・グールドを読む、原摩利彦が選んだグールド作品10+1」で1位を獲得したのは、なんと、まさかの「ハイドン:後期6大ピアノ・ソナタ集」。
今回グールド作品を聴き直した中で、最も驚かされたアルバム。偏見かもしれないけれどハイドンにはザ・クラシックみたいなイメージがあってちょっと聴きにくい存在だったのですが、そんな古くささが一切感じられない素晴らしい作品に仕上がっています。(略)グールドの晩年に録音されたアルバムですが、最初にゴールドベルクを録音したときの才気煥発な若き天才性と、ブラームスの間奏曲に感じられる彼独特の優美さとが、見事に調和している素晴らしい演奏だと僕は感じています。(「グレン・グールドを聴く、グレン・グールドを読む、原摩利彦が選んだグールド作品10+1」)
このコメントを読んで、僕も早速グレン・グールドのハイドンを聴いています。
グールドでハイドンって、あまり意識したことがなかったんですが、これは本当に良いと思いました。
グールド関連の書籍も気になりますね。
石田ゆり子さんも、はじめたみたいです
特集扉の前の見開きで大きな写真で登場しているのは、女優の石田ゆり子さん。
譜面台の前で、椅子に腰かけながらクラシックギターを練習中の様子。
昨年末から、思い切ってクラシックギターを習い始めました。出演した映画『マチネの終わりに』がきっかけで、そのアンプラグドな音色の美しさに惹かれました。ギターの面白いところは、人によって全然音が違うこと。(略)目標はバッハの名曲「コラール『目覚めよと呼ぶ声あり』~カンタータBWV140」を弾くこと。まだ道のりは長いですが、毎日ちょっとずつでも触って、一歩ずつ上達していけたらと思っています。(石田ゆり子さんも、はじめたみたいです)
セリーヌのカーディガンを羽織ってギターを弾く石田さんの姿は、リラックス感があるのに優雅で上品。
ちなみに、石田ゆり子さんは「みんなのMYクラシックピースガイド」のトップバッターとして、3段抜きの1ページ独占で登場しています。
最近聴くのはクラシックギターの曲ばかり。車の中でも家でも、とにかくずっと聴いています。中でも大好きなのが、映画『マチネの終わりに』でも共演した気鋭のフランス人ギタリスト、ティボー・ガルシアさん。昨年6月に行われた日本でのコンサートで初めて生で演奏を聴いて、そのあまりの美しさに衝撃を受けました。まるで天から降ってくるかのようなキラキラした音で、吸い込まれるように聴き惚れてしまったんです。以来、クラシックギターに夢中になりました。(みんなのMYクラシックピースガイド)
映画出演以来、いかにクラシックギターに夢中になっているかが分かります(笑)
石田さんは、ティボー・ガルシアの2枚組CDアルバム『レイエンダー~伝説のギター』『バッハに捧げる』にサインを入れてもらって、擦り切れるぐらいに聴きこんでいるそうです。
そんな石田さんのマイピースは、やはりティボー・ガルシアで、「疲れた心をリフレッシュさせてくれるクラシックギター曲」として、『ブエノスアイレスの四季/アストル・ピアソラ』『インヴェンションズ(バッハへのオマージュ)/アレクサンドル・タンスマン』『コラール「目覚めよと呼ぶ声あり」~カンタータ BWV140/バッハ』を紹介しています。
この機会に聴いてみようと思います、ティボー・ガルシア。
みんなのMYクラシックピースガイド
今回の特集で一番おもしろかった記事は、著名人が自分のお気に入りのクラシック曲を紹介する「みんなのMYクラシックピースガイド」です。
書評とか音楽や映画の紹介みたいなコラム記事が好きで、新しい世界への鍵となるヒントを探してアンテナを張り続けているタイプの方には、こういう特集は最高ですよね(自分か)。
星の数ほどあるクラシック曲は、聴き方も楽しみ方も人それぞれ。気持ちを落ち着かせてくれる曲から幽体離脱を促す曲まで? クラシック通27人が極めて個人的なテーマで選んだ3曲を一挙に公開します。(みんなのMYクラシックピースガイド)
全部で31曲のクラシック曲が紹介されているので、どこから始めて良いか分からないという方には、すごく良いクラシックガイドだと思います。
コツは、自分の好きな著名人がお勧めする曲から試してみること。
石田ゆり子さんのファンであれば、今、石田さんがハマっている「疲れた心をリフレッシュさせてくれるクラシックギター曲」とか、お笑いコンビ「霜降り明星」が好きな人は、粗品さんがお勧めする「暑い夏、デパートの扉が開いてちょっと涼しかった時に頭に流れる曲」(?)とか、共産党推しの方だったら、志位和夫さんの「闘いの前の緊張感を高めてくれる曲」とか。
この手の特集は人選がキモなので、お気に入りの人や気になる人を見つけたら、必ずチェックしましょう。
「一日のおしまいにぼんやりする時に聴く曲(飯尾洋一)」とか「初めて聴いた時の衝撃と感動にいま一度立ち戻りたい時の曲(恩田陸)」とか「かなり気分がブチアガる曲(長谷川白紙)」とか「デスクワーク中に聴くと心がすっとする曲(中村真人)」とか「普段使いでき、数分でグッと入り込める曲(大西穣)」とか「パブロ・カザルスの名盤より、SPレコードで体感したい曲(林道雄)」とか、個性的なテーマで選ぶのもあり、ですね。
読書感想こらむ
昔、「古物」を売る店へ通っていたことがある。
錆びたものがたくさんあって、店の中は全体に錆び色をしていて、客はいつでもほとんどいなかった。
静かな店内には、緊張感を保つようにクラシックギターの音楽が流れている。
週に一度、僕はその店へ顔を出し、気難しい女性店主とも仲良しになり、そして、気が付けば、その店のBGMを自分のプレイリストにしてしまうくらい、その店が大好きになっていた。
あれから10年。
その店へ通うことはなくなってしまったけれど、あの頃に作ったプレイリストを、僕はまだ失くせないでいる。
あの錆び色の店内では、今でもクラシックギターが流れ続けているのだろうか。
まとめ
ブルータス初めてのクラシック音楽入門。
最新情報も満載で、今のクラシック音楽に触れることができる。
初心者もベテランも永久保存版の1冊。
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